お薬手帳

4月からお薬手帳を持参しないとエライことになるとかならないとか。いや、エライことにはならないけど。まぁそれはそれとして、「お薬手帳」という言葉が面白い。その名称自体に「お」が入ってる。美化語の「お」だと思う。「おトイレ」みたいな感じの「お」だと思う。それ込みで名称になってるのが面白い。こう、物凄く口の悪い人がいて、例えば「トイレにいく」という表現も口の悪い人とかなら「便所に行く」みたいな感じで言うだろう。「トイレにいく」でも違和感はない。でも、いきなり「おトイレに行ってくる」とは言わない。トイレ我慢しすぎて頭おかしくなったのかと思われたりするだろう。とにかく、そういう人口の悪い人というかあまり美化語や丁寧語を使わないようなぶっきらぼうな人でも、お薬手帳のことを呼ぶ時は「お薬手帳」と呼ぶんだと思うと面白い。「薬手帳」と単純に言われてもピンと来ない。「お薬手帳」と言われれば、ああ、あれだとすぐにわかるが、「薬手帳」と言われても一瞬何のことかわからなくなるだろう。だから「お薬手帳」と言う他ない。プロレスラーの蝶野のような、明らかにヒールっぽい人でも「お薬手帳」というんだと思うとちょっとかわいいし面白い。逆にそこを頑固に「薬手帳」と言い出したらみみっちい感じがする。どこまで「お」をつけたくないんだって感じがする。「ほら、あれだよ、あるだろ、今飲んでる薬を管理する手帳がよ…」みたいなフォローをいちいち入れながら頑なに「お薬手帳」と言わなかったら言わなかったで、物凄くみみっちい。でも、いきなり「お」なんてつけはじめて「お薬手帳」なんて言葉を口にしたら、なんかギャップを大いに感じて面白く思える。なんか、そんな感じ。